みんなで楽しむ公園へ
本町商店街の端に佇む「本町公園」。
米ノ津川沿いにあり眺望も良く、木陰と日当たりが良い具合に調和の取れた、心地いい場所だ。
ここで最近行われ始めたのが〝部活街〟(ぶかつがい)である。街の人々が集い、各自が得意とすることや趣味の活動をそこで披露したり、練習するなど、各々で自由に活動をする。そんな企画である。
参加した面々はみなとても生き生きとして、楽しそうな様子。たとえば「音楽部」では、チェロやクラリネットを趣味に持つ女性らがその公開練習をする。あるいは「読書部」では好きな本を持ち寄って自由に読んだり読み聞かせをしてくれたり。ユニークなものとして「鳥部」もあった。公園から見ることのできる範囲で、みんなでバードウォッチングをやるというもの。他にも様々な「部活」があり、どれも、各自や周囲の人を巻き込んで楽しんでいるのが印象的だ。
この活動は、出水市の主催する「リノベーションスクール」の取り組みの一環として始められたものである。本町商店街の遊休物件を用いて、何か事業を新しく始めたい(始める可能性がある、あるいは興味がある)人が集い、その手法の勉強、そして企画から、改装、開業までを実行する(あるいはサポートする)というプロジェクトだ。そしてひいてはそれが、街の活性化へとダイレクトにつながる。そういう狙いがある。
その対象物件のひとつとして、本町公園も含まれていた。
建物ではなく屋外、そして公園というのが実にユニークでおもしろい。町中にあるのに普段はひっそりとしていて、人影もまばら。それで〝遊休〟の場ということであろうか。なるほど、この場所は公園。ここが人が気軽に集う場になれば、〝賑わう街〟の格好のアイコンとなるだろう。
建物でなくても、最終的に街の活性化へと繋がることで、これも確かな〝リノベーション〟活動といえる。斬新な試み、これからが楽しみな、画期的取り組みだ。
(文:Yuichi Komura(ブックカフェ つばめ文庫))